『神代の牛の民』グドアリム(Gudoarim)

『岩と大樹の時代』の後、世界は硬い岩盤の地面に無数の大岩が転がり、たまに呆れるほどに巨大な古き世界樹があるだけ、という殺風景なものだったと伝えられている。しかし、大いなる意思によりやがて巨大な巨大な獣たちが現れた。『獣の時代』の始まりである。この巨大な獣たちの中でも特に象徴的なのは『天の牡牛』と呼ばれる巨大な牛たちだろう。彼らは原初の混沌がもたらした歪んだ様々な植物のようなものを何度も反芻しては食し、無害化して排泄し大地に滋養を与え、硬い岩を踏んでは砕いて土を作り、と、次第に岩と岩盤だけの世界に土と緑をもたらし始めた。
さらに時が経ち、やがて巨大な牛たちは巨人やのちの時代の人型の神々に狩られて少しずつその数を減らしていく。特に、人の時代の暁をもたらしたとされる弓神モーンの働きは多くの巨大な獣たちを葬った。こうして『獣の時代』は終わり、『人なる神の時代』へと至ったが、巨大な牛たちは人の営みを全ては否定しておらず、また人からも獣や現在の大地の恵みに感謝している者たちも絶えることが無かった。
その大いなる意思が人と『獣の時代』特に『天の牡牛』とのつながりとしてもたらしたのが神代の牛の民グドアリム(Gudoarim)たちである。牛の頭と牛の蹄のある脚、そして筋肉質でかなり人より大きい巨躯の民でありその身長は2.5メートルから3メートルほど、体重は200キロを優に超え、豊かな世界では特に『天の牡牛』の末裔とされる巨大なバルキト(Balkit)種の牛と共に暮らしている。

彼らと良好な関係を築いている人間の国では、彼らは多くは火山性の荒涼とした高原に暮らし、高原がやがて豊かな草原になると次の豊かにするべき地を探しては長い旅に出る。そんなバルキト種の牛とともにいるグドアリムたちはしばしば祭祀の対象にさえなっている。

一方、長い時と共にバルキト牛を失う、または『人なる神の時代』に染まったグドアリムたちは極めて好戦的であり、自分たちの版図や取り分を広げたいという思いも強い。このため魔術師に仕えたり傭兵として生計を立てていたり、あるいは地獄の侯爵たちのお抱えの戦士になる者もいる。それもまた広義での『人なる神の時代』への『人らしい』関わり方であろうとも。
彼らは『良い革、良い木、良い鉄』を本能的に知っており、このため質の良い武具を好む。彼らはそれを鉄鉱石や戦働き、あるいはたまに出るバルキト牛の肉や素材との交換で手に入れて身に着けており、戦場で彼らと出くわしたらその巨躯の怪力と装備の良さ、粘り強さでとても厄介な相手になるだろう。裏を返せば彼らが味方になった時にはとても心強く、拠点の守りには特に長けている。
一例として、ウロンダリアの南方新王国における大規模な戦い、僭主ケセルナブを打ち倒すべく起きた旧アルキオラ神授王国での戦いでは、僭主ケセルナブに反旗を翻した白狼の騎士クレイトン配下のグドアリムの戦士クラデロとカリの夫婦の活躍が有名である。史上名高いドルムスカー要塞防衛戦において、要塞の正門を守ったグドアリムの戦士クラデロとカリの夫婦は六重の防衛網を突破してきた勇猛な兵士たちの最後の障壁として立ちはだかり、軽傷を負ったのみで四百名以上の僭主軍の兵士を退けている。これによって僭主軍の巻き返しはほぼ不可能になったとされている。
グドアリムたちは大地の祝福により、重力からある程度解放されており、これが人には怪力と、巨体からは想像もできない俊敏さと映る。また、肌は岩の様に硬くすることもでき、そう簡単に刃が通らない状態にもなる。その叫び声は仲間やおのれの戦意を高める力がある。バルキト種に限らず普通の牛に対しても意思疎通できる能力があり、牛を扱わせたら人間より遥かに上手であるとされている。そして、バルキト種の牛と同じように、蹄には岩を砕く力も備わっている。基本的には良き隣人として付き合うべき人々なのだ。
バルキト種の牛について
バルキト種の牛は植物の属性を持つものは何でも食べる。石炭や化石化した木はもちろん、混沌に汚染された植物でさえも食してしまい、蹄は岩や木を自在に割る力を持ち、森や岩山を道に変えてしまう。その体重は通常個体:2.5〜3.5トン、大型の雄:4トン前後、最大級:5トン弱程度である。バルキト牛もまた大地の祝福により重力に強くは縛られておらず、見た目よりも軽快に動き回る。

※この項は加筆予定です。

コメント