NOVEL

『ダークスレイヤーの帰還』

最果ての星の海、エメレセとマリーシア

最果ての星の海、エメレセとマリーシア 燦然さんぜんと輝く星空の下、暗黒の水面みなもに浮かび上がるように、淡い銀の光を放つ女が目を閉じて慎重に歩いていた。流れるような刺繍も見事な、ぴったりした真珠銀しんじゅぎんのビスチェとかなり短めのスカート...
『ダークスレイヤーの帰還』

ミクタラの一日・後編

ミクタラの一日・後編 世界樹せかいじゅの洞うろの部屋は完全に日が落ち、部屋の各所に置かれた鈴のような花が青白い燐光りんこうを放ち始めている。幽かすかな草花の芳香を放つベッドに横になったフェルネーリは、頬杖をついて脇机のそれを興味深げに眺めて...
NOVEL

ミクタラの一日・前編

ミクタラの一日・前編 無限世界イスターナルのとある世界、ミクタラ。 三眼有角の見事な黒馬に乗った男が、ひときわ高い岩山から眼下の雄大な景色を見下ろしていた。彼方まで広がる大密林と、間を走るきらきらとした大河。その景色の中に、わずかに違和感を...
『ダークスレイヤーの帰還』

第五幕 月のイシュクラダル、ミゼステとオーランド

第五幕 月のイシュクラダル、ミゼステとオーランド ウロンダリアの遥か上空、二つの月の大きなほう『レダの月』の神都しんとの一つ、イシュクラダル。 外とつ世界と呼ばれるウロンダリアの外、無限世界イスターナルの各所から集まって来た月の民たちの技術...
『ダークスレイヤーの帰還』

第四幕 月を喚ぶ

第四幕 月を喚よぶ 『豊穣ほうじょうなる雨の地』を意味する世界ウル・インテス。 その世界の遥か上空、暗い星の海には、普段はウロンダリアの夜空にしばしば現れ『モノリス』と呼び親しまれている直方体の超大型構造物、『不滅ふめつの堅座けんざ』ヴァジ...
『ダークスレイヤーの帰還』

第三幕 月を呼ぶ前に

第三幕 月を呼ぶ前に かつて、『豊穣ほうじょうなる雨の地』と呼ばれていた世界、ウル・インテス。 マスティマ・ウンヴリエルとダークスレイヤーの激しい戦いは既に遠い昔となったこの世界の空。その冷たい霧風の中を、一角の白い馬に横座りした女が優雅に...
『ダークスレイヤーの帰還』

第二幕 赤い星のダンディリオン

第二幕 赤い星のダンディリオン 無限世界イスターナルの、とある滅亡した世界の赤い星。 中天ちゅうてんに向かうにつれ茜色あかねいろからオレンジ、そして白に至る眩しい空を眺めて、今は悔悟かいごの天使と呼ばれるようになった天使プラエトたちの長の一...
『ダークスレイヤーの帰還』

第一幕 人魚姫オルセラは今日も泣く

第一幕 人魚姫オルセラは今日も泣く ウロンダリアのとある海の中、人魚姫オルセラの領域『海冥宮かいめいきゅうイース』。 珊瑚岩と様々な形の巨大な貝殻、いずこかの世界の神殿の残骸などを人魚たちがその感性で組み合わせた壮大な海の中の宮殿都市は、『...
『ダークスレイヤーの帰還』

ウル・インテス最後の日 対マスティマ・ウンヴリエル戦

ウル・インテス最後の日 対マスティマ・ウンヴリエル戦 いずこかの世界ウル・インテス、その最後の日。 交差させた両手の先に十本の蒼く燃える神剣しんけんを顕現けんげんさせたマスティマ・ウンヴリエルは、下方の空にたたずむ黒衣の人馬、ダークスレイヤ...
『ダークスレイヤーの帰還』

第三章エピローグ 一人と一匹の未来

第三章エピローグ 一人と一匹の未来 『不帰かえらずの地』の野営地の丘。 今や壮大な『二つの世界樹の都』を眺める絶好の位置となったこの丘では、ルインたちの帰還から三日間、魔の都と最果ての村ウーブロ、そしてこの野営地と、ルインや眠り女、魔の国と...