第三章間話

『ダークスレイヤーの帰還』

ディレニスの雪・後編

ディレニスの雪・後編 不確かな闇の中。 サーリャはダークスレイヤーの首に手をまわして力を抜いた。この後の事は全て受け入れ、この男の苦しみを分かち合うつもりでいた。「目を見せて。たとえ怒りや欲に満ちていても、私は厭いとわないわ……」 かつてこ...
『ダークスレイヤーの帰還』

ディレニスの雪・中編

ディレニスの雪・中編 凍てつくディレニスの最高峰、聖山バナンシの凍った地底湖の聖域。 焼け焦げたダークスレイヤーの腕を抱いたサーリャは爆発的な黒炎こくえんに包まれた。熱いという表現では追い付かない、押しつぶされるような激痛。しかし、この激痛...
『ダークスレイヤーの帰還』

ディレニスの雪・前編

ディレニスの雪・前編 無限世界イスターナルの辺境、雪深いディレニスと呼ばれる冷たい世界。その滅んだ神々の王宮、グラネクサル。 氷の女王サーリャは紺と白のドレスのような戦装束に身を包み、左手に剣を握ったまま、眼下に並ぶ氷の巨人の大軍勢を見下ろ...
『ダークスレイヤーの帰還』

蒼い城と、導きの灯火

蒼い城と、導きの灯火 無数に枝分かれした無限世界イスターナルの中でも、特に基軸きじくとなる、光、中間、闇の三千世界の中で、六つの世界に連なる位置に存在する、『ア・シェの六連世界』と呼ばれる地があった。光溢れる二つの世界、中間の二つの世界、そ...
『ダークスレイヤーの帰還』

ミクタラの一日・後編

ミクタラの一日・後編 世界樹せかいじゅの洞うろの部屋は完全に日が落ち、部屋の各所に置かれた鈴のような花が青白い燐光りんこうを放ち始めている。幽かすかな草花の芳香を放つベッドに横になったフェルネーリは、頬杖をついて脇机のそれを興味深げに眺めて...
NOVEL

ミクタラの一日・前編

ミクタラの一日・前編 無限世界イスターナルのとある世界、ミクタラ。 三眼有角の見事な黒馬に乗った男が、ひときわ高い岩山から眼下の雄大な景色を見下ろしていた。彼方まで広がる大密林と、間を走るきらきらとした大河。その景色の中に、わずかに違和感を...