NOVEL

『ダークスレイヤーの帰還』

第三話 火急の事案

第三話 火急の事案──西の櫓やぐら、バルコニーをのぞむ部屋 クロウディアとの手合わせを終えたルインは腕の怪我をシェアに診てもらっていた。しかし、シェアはルインの傷跡を何度も注意深く見ては首をかしげて困惑している。「ルイン様、こうして見ている...
『ダークスレイヤーの帰還』

第二話 影と鎖

第二話 影と鎖──西の櫓やぐら、午後。 ルインの思わぬ申し出に、影人の皇女クロウディアは驚きの声を上げた。「ええ⁉ もう私と立ち会い? ……こんなに早く? ……本気なの?」「早い方がいいだろう? それに覇王ウロンダリウスの霊廟れいびょうの探...
『ダークスレイヤーの帰還』

第一話 依頼の山

第一話 依頼の山 魔の国キルシェイドの首都、『黒曜石の都』オブスグンド、その大城壁の西の櫓やぐら、眠り人の仮の寝所。 暑くも寒くもない、快適な春の朝だった。気分良く目覚めたルインは周囲を見回し、天井には既に朝の光が照り返しており、今日も良い...
『ダークスレイヤーの帰還』

プロローグ2・少年はその本を読む『ダークスレイヤーの帰還』

無限世界むげんせかいにおいてしばしば『永遠の地』と呼ばれるウロンダリア。その中心地域の上空には空に浮かぶ大陸や少なくない国々も存在していた。 このウロンダリアには特に古く由緒ある『八つの古王国こおうこく』と呼ばれる大国が存在している。ここは...
『ダークスレイヤーの帰還』

プロローグ1 最後の眠り人

「全てが漂着する地」……人はそこを古代の大王にちなんでウロンダリアと呼ぶ。 時間さえ曖昧で、人や神や魔はもちろん、世界まで漂着するこの地には、『眠り人』と呼ばれる存在が流れ着くことがあった。永い眠りののちに目覚めた彼らは素晴らしい技術や知識...
NOVEL

ウロンダリアの国々と地理

※無限世界とウロンダリアの位置関係ついて 広大な無限世界イスターナルの中にウロンダリアがぽつりと存在しており、ウロンダリアだけは比較的容易に無限世界を観測しやすい条件がある。これは『巨神の裂け目』と呼ばれる世界の亀裂がウロンダリアには非常に...
NOVEL

無限世界について

主物質界(プライマ・リア) 私たち人間が何とか肉体のままで行ける世界、と理解すると良いだろう。いわゆる物質界の事をこの物語世界では主物質界プライマ・リアと呼ぶ。以下に主物質界プライマ・リアの範囲となる各世界について説明する。無限世界(イスタ...
CHARACTER

魔の都の西の櫓、眠り人と眠り女ほか

魔の都の西の櫓、眠り人と眠り女ほか眠り人ルイン 本編の主人公で、ウロンダリアにしばしば現れる『眠り人』の予言に無かった二十一番目の男。その正体は無限世界イスターナルの構造に異を唱えて戦い続け、最悪の存在とされた『名を消されし者』ダークスレイ...
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鉛の剣士バラク・後編

鉛の剣士バラク・後編 南方新王国、大プロマキス帝国領ザウーナ自治区、自治省所在地カプア。 円形闘技場は満員を超える観客たちを収容していたが、その様子からは考えられないほどに静寂が支配している。裁判官や審査員しんさいん、検察官けんさつかんに、...
NOVEL

鉛の剣士バラク・前編

鉛の剣士バラク・前編 南方新王国、大プロマキス帝国領ザウーナ自治区、自治省所在地カプア。 大きな円形闘技場近くの飲み屋街ではしばしば、この街の花形の職業である仇討ち請負人たちの議論が紛糾ふんきゅうしていた。今夜は特に、古くから歴史のある、ほ...