NOVEL

『ダークスレイヤーの帰還』

第九話 翡翠戦争

第九話 翡翠戦争 南方新王国なんぽうしんおうこくから工人アーキタの都市国家ピステに向かう機関車『鉄の駿馬号』。その特等客室のサロン。 あらゆる魔法的な効果を打ち消す鉛によって壁内が守られているサロンの中で、古き民の王族の女性セレッサと、眠り...
『ダークスレイヤーの帰還』

第八話 車窓の内外

第八話 車窓の内外 南方新王国なんぽうしんおうこく、資源生産国ケイメルテ。蒸気機関車『鉄てつの駿馬しゅんめ』内。 深い青色と少しの銀という色合いの制服を着た乗務員の案内によって、眠り人一行は特等の客室へと通された。磨かれた古木の内装は青を帯...
『ダークスレイヤーの帰還』

第七話 鉄の駿馬

第七話 鉄の駿馬 翌朝。 大国『バルドスタ戦教国せんきょうこく』の介入間近の緊張状態にある工人アーキタの都市国家のひとつピステ。ルインと、彼に同行する眠り女たちはアゼリアとチェルシーからこの都市へのやや面倒な行程に関する説明を受けていた。 ...
『ダークスレイヤーの帰還』

第六話 遠く懐かしきラーナ・ハーリ

第六話 遠く懐かしきラーナ・ハーリ 西の櫓やぐら、ルインの部屋。「昔話? おれの記憶に関係があると?」 ルインの問いに、腕輪の姉妹の姉、フリネは無言で微笑んで頷うなずく。一方、隣にいる妹のレティスはフリネとルインの様子を交互に見ていた。「そ...
『ダークスレイヤーの帰還』

第五話 工人と古き民

第五話 工人アーキタと古き民アールン 西の櫓やぐら、大浴場。 白い幔幕まんまくで仕切られた広い風呂で湯につかったルインは、手のひらに小さな黒い火を呼び出して記憶を手繰るように眺めていた。しかし、ぼんやりと思い出されるのは全て激しくも遠い戦い...
『ダークスレイヤーの帰還』

第四話 驚愕の市場、不穏な兆し

第四話 驚愕の市場、不穏な兆し──魔の国、黒曜石こくようせきの大魔城オブスガル。その大広間。 肩をすくめるようなラヴナの言葉に上魔王じょうまおうシェーングロードは無言で頷き、話を続ける。「ラヴナの言う事も同感ではある。まず、この黒曜石の都に...
『ダークスレイヤーの帰還』

第三話 火急の事案

第三話 火急の事案──西の櫓やぐら、バルコニーをのぞむ部屋 クロウディアとの手合わせを終えたルインは腕の怪我をシェアに診てもらっていた。しかし、シェアはルインの傷跡を何度も注意深く見ては首をかしげて困惑している。「ルイン様、こうして見ている...
『ダークスレイヤーの帰還』

第二話 影と鎖

第二話 影と鎖──西の櫓やぐら、午後。 ルインの思わぬ申し出に、影人の皇女クロウディアは驚きの声を上げた。「ええ⁉ もう私と立ち会い? ……こんなに早く? ……本気なの?」「早い方がいいだろう? それに覇王ウロンダリウスの霊廟れいびょうの探...
『ダークスレイヤーの帰還』

第一話 依頼の山

第一話 依頼の山 魔の国キルシェイドの首都、『黒曜石の都』オブスグンド、その大城壁の西の櫓やぐら、眠り人の仮の寝所。 暑くも寒くもない、快適な春の朝だった。気分良く目覚めたルインは周囲を見回し、天井には既に朝の光が照り返しており、今日も良い...
『ダークスレイヤーの帰還』

プロローグ2・少年はその本を読む『ダークスレイヤーの帰還』

無限世界むげんせかいにおいてしばしば『永遠の地』と呼ばれるウロンダリア。その中心地域の上空には空に浮かぶ大陸や少なくない国々も存在していた。 このウロンダリアには特に古く由緒ある『八つの古王国こおうこく』と呼ばれる大国が存在している。ここは...