『ダークスレイヤーの帰還』

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第二十五話 雨と快晴

第二十五話 雨と快晴 セダフォル荘の一室でルインに抱き着いていたアーシェラは、涙の消えた顔を上げて素朴な疑問を口にした。「ルイン様は私が怖くないのですか? 軍事力や、私が王族だという事を抜きにして、ですが」「怖い? なぜ? よくわからないが...
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第二十四話 怖い女

第二十四話 怖い女 何らかの力が働いたのか、アーシェラは不思議な眠りに落ち、その夢の世界にいた。「アーシェラ、あなたは隅に置けないわね。あの人を動かすなんてさすがは我が使徒しとね」 顔を上げたアーシェラは、いつの間にかヘルセスの瀟洒しょうし...
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第二十三話 ウラヴ王の城

第二十三話 ウラヴ王の城 黒い城近くの殺風景な平原には、縦横じゅうおうに断たれた岩の戦艦せんかんの残骸ざんがいと、そこから上がる炎、切り裂かれた大柄な異形いぎょうの地獄の騎士、貴族、侯爵などの死体が散らばっていた。「悪いな。一対多の時はこう...
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第二十二話 下層地獄界・炎の領域

第二十二話 下層地獄界かそうじごくかい・炎の領域 ルインは落ちていく。下層地獄界かそうじごくかいへと穿たれた穴の中を。しかしルインは何ら気負ってはいなかった。遥か下方に見えていた砂粒のような赤い点は徐々に迫り、それが赤く霞たなびく火の粉とも...
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第二十一話 涙と痛み

第二十一話 涙と痛みかいがせいどう 絵画聖堂を後にし、ダスラの王宮に戻った一行に届いた報せは、オルリスの街に隠れ住む第二、第三王家の血統の者全てが高熱で倒れたという知らせと、モルオン・サダの隠れ里のセダフォル荘で発生した緊急事態の知らせだっ...
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第二十話 邪悪な真相

第二十話 邪悪な真相 不気味な霧に閉ざされて視界の悪い空間の中、それぞれが現れた髑髏どくろの甲冑かっちゅうの騎士に向かう。この霧の空間は特殊で、おそらく髑髏姿の騎士たちが何らかの術式で展開しているらしく、ある程度髑髏の騎士に近づいた者はそれ...
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第十九話 悪意の仕掛け

第十九話 悪意の仕掛け 絵画聖堂かいがせいどうの内部。全ての絵画のそばに束ねられた灌木かんぼくがうずたかく積まれ、たっぷりと油がかけられた。「空気の確保をお願いいたします!」「任せて!」 アーシェラに応じて、クームが腰の水晶球を二つ取り出し...
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第十八話 絵画聖堂

第十八話 絵画聖堂かいがせいどう 朝、バルドスタのダスラの王宮の控えの間に武装した眠ねむり女めたちが集まっていた。王宮の転移門にアーシェラが『西の櫓(やぐら)』との直通路を開通させたために、夜会の時とは異なり、現在は容易に訪れることが可能に...
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第十七話 薄明

第十七話 薄明 ルインがバルドスタのアーシェラ王女に呼ばれていずこかへと出かけた夜、魔の都の眠り人の本拠地『西の櫓やぐら』の眠り女たちは、自然発生した深夜の飲み会で親睦を深めていたが、何人かの眠り女は少し落ち着きを欠き始めていた。 特に、影...
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第十六話 セダフォル荘にて

第十六話 セダフォル荘にて モルオン・サダの上空の浮島、バルドスタ戦教国せんきょうこく王族の隠れ家、セダフォル荘。 飾りガラス越しの温かな光さす窓際で、マイシェラ王妃は柔和な笑みを浮かべた。「あなたが眠り人ルイン様なのね。不思議なものです。...